以下、参加者の意見です。
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Aさん
- スターリンが秘密警察を駆使して政敵を粛清する有様(184ページ)、スターリンが周辺諸国と「侵略の定義に関する条約」(=いかなる理由があっても先制攻撃をしたことをもって侵略と看做す)を結びまくって、「ご丁寧にほとんどすべての国が、ソ連にそのとおりの侵略をやられています」というやり口(191ページ)、プーチンとやってること同じ。スターリン=プーチンの見立てが整ったのが、一番の収穫だった。プーチンは21世紀のスターリンだ。
Bさん
- 正直、文体への拒絶感が強かった。内容も、「通説」として示されている説からして納得いかないところもあった。
- この本きっかけで読んだ他の本も含めて、ロシアがウクライナを領土であると思っていることの本気度が分かった。
Cさん
- 一番おもしろかったのは、「ソ連三権分立」。立法・行政・司法、は共産党の下部機関にすぎないので、党>秘密警察>軍。これがジャンケンのように三すくみになっているという。スターリンやプーチンのように党と秘密警察を両方掌握する者が出ると、バランスが崩れてしまう。初代ツァーリ「雷帝」イヴァン四世(16世紀)の時代から秘密警察が強力なので、この見立てはまさにロシアの本質を衝いているのではないか。
- 「コミンテルンの陰謀」があったというが、言及箇所全てで「証拠はないが」と書いている(186、209、210ページ)。こういうのは、「証拠はないけど絶対不倫してる」ような言い分と一緒であって、反論のしようもなく、まともな論説ではない。
Dさん
- 歴史の流れ、つながり、力学が分かるのがとてもよい。
- ヨーロッパやロシアは地続きの世界で領土を取り合って存亡をかけて争ってきている。そのため、領土保全の欲望・外交の真剣度が日本と格段に違うことが、骨身に染みるほど分かった。実際、日本も見習うべきと思う。
- クラゼヴィッツ曰く、「ロシアは軍事的に倒せない。内部崩壊させねばならない」(153ページ)。今もそのまんまではないか。
Eさん
- 学校教育と大河ドラマのせいかもしれないが、戦国と幕末だけがクローズアップされて、現代史を無視するような見方では、歴史の流れが掴めないと思った。
- 「国際連盟創立以来〔満洲事変以前〕、日本はヨーロッパのもめ事にしがらみのない立場から立派に調停役を務めてきました」(195ページ)の部分、こういうことは他では知れなかったと思う。
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あとは、やはりウクライナの話が多く出て、話しをするうちの流れで、ウクライナに寄付することにしました。リサーチすると「国境なき医師団」が信頼できそうでしたので、参加者が少しずつ出し合った5,000円を寄付いたしました。
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今回の料理は、ポークに彩りを加えるため、パプリカのマリネを添えてみました。塩と脂と酸味で、たまらんお味に! ではまた来月!