給食にはプラスとマイナスの思い出がいっぱい。読書会で話すと年代の違いが盛り上がります。そしてそれが歴史に繋がっていると感じられる、おお、読書会の醍醐味を得た!
参加者から出た意見は、次のとおりです。
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Aさん
- 好きだった給食は、ソフト麺のカレー掛け。ソフト麺は本書では評価がイマイチ(213-214、231頁)だが、おいしかった印象。
- 給食の苦い思い出は、レトルトパウチのハンバーグが、学期の終わりに机の中から出て来たという。
- 富国強兵の尻尾ともいえる初期の給食の目標、日本人の「体格」向上(158頁)は、ある程度実現したかもしれないが、西洋人のような高身長をめざすというのは、そもそも無理筋だったのでは。
- 世界史の一部としての給食、というオチ(257頁)は、やはり印象的。身近な事柄も、戦後史、世界史に繋がっていくものなんだなという感慨を得た。
Bさん
- 好きだった給食は、カレーについていたフルーツヨーグルト。
- 嫌いだった給食は、レバー、その他いろいろ。給食を食べきらないと席を立てない決まりだったので、昼休みに遊べないまま残飯と向き合って過ごすという嫌な思い出が。
- 給食の二面性、ヤヌス性(子どもを守るのか、子どもを自立させるのか、123頁など)がよく書かれていて面白かった。例えば、給食の無償化はセーフティネットになりうるが、無償化によって恩恵感が生じて異議をいいにくくなる側面もあるなど。というか、給食にはやっぱり闇があったんだ、よかった、と思った。
Cさん
- 好きだった給食はカレー。匂いだけでわくわくした。
- 嫌いだった給食は、春雨とベーコンのマヨネーズ和え。あと、どう考えても牛乳とご飯は合わない。
- アレルギーがあっても皆と同じものを食べなければならないという指導(1970年代、204頁)など、給食には、みんなと同じことをするのが当然、個人の例外を許さないという、日本の特性が現れているように思った。
- あと、どう考えても牛乳に固執しすぎ。
Dさん
- 好きだった給食は、揚げパン、コーヒー牛乳(粉末を混ぜるバージョン)
- 嫌いだった給食は、蛍光黄色の汁まみれの沢庵と、煮すぎてボソボソの冷たいレバー生姜煮とを、一つの皿に盛るため混ざり合って、えもいわれぬまずさだったやつ。おかげで今でも沢庵が嫌い。
- 著者がオチで言う(251-253、260頁)とおり、「運動史」としての側面が面白かった。歴史は下部構造によって「自然に」変わるような印象をもっていたが、文部省(裏工作含む)なり、佐藤栄作(人気取り含む)なり、学校栄養職員・調理員・教師・保護者等々のセンター方式反対運動なり、歴史は具体的な人々によって「人為的に」変わるんだな、と思った。というか、文部省って「運動」するんだ。
Eさん
- 好きだった給食はオレンジゼリー。
- 嫌いだった給食は、公立幼稚園で出た牡蠣。苦すぎ。
- 正直、話が細かいと思った。脱脂粉乳のくだりが興味を引かれた。
Fさん
- 好きだったというか、マシだった給食はカレー。
- 嫌いだった給食は、野菜まみれの煮物など、野菜全般。当時好きだった隣の席の男の子は肉嫌いで、よく交換していた。
- 戦中・敗戦後の栄養不足、欠食がやはり印象的。東條英機の、「食うものが足りないと不足を唱うる事は、私には解せないところでありまして」(59頁)とか。フーヴァー元大統領が、「このままでは日本国民の栄養水準はドイツの強制収容所と変わらない」と警告を発した(89頁)など。
- 給食と再軍備(自衛隊)とが結びついていた(153-155頁)というのも驚き。アメリカの余剰農作物の処理を兼ねた食料・軍事・経済援助と、自由社会防衛のための自国防衛力増強のセット、MSA(相互安全保障法)など。
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実にいい本でした。あと、給食のネタは読書会に向いています。
そして今日の手料理は、給食では出ない、豚バラ肉の赤ワイン低温調理! もう大人だから。しかしもっと給食に寄せればよかったかもしれない。
やっぱり読書会はいいですね! ではまた。