この本はおすすめです! なぜなら、これを読むと、食事がおいしくなるからです。味わおうとすると、おいしくなり、記憶にも残ります。口に入れたものに集中し、味わうことが、健康への鍵。らしいですよ!(A・J・ジェイコブズ『健康男 体にいいこと、全部試しました!』33頁)
以下、参加者から出た意見です。
Aさん
- コーパスから「コク」を分析する部分が、やっぱりおもしろい。
- Eさん いや、私は、この分析はわかるんだけど、ちょっとがっかりしたというか。こういうふうに分析すると情味がなくなるというか。それこそ、コクということばのコクが失われたような気がした。
- Fさん 私はこの分析、おもしろかった。この分析を読むまで、コクということばを、分かったような分からないような使い方をしていたのが、すっきりした。
Bさん
- 110頁など、メタファーを分析する部分は、違和感があった。おいしい表現がどう使われているかを統計的に分析する部分は、意味があると思う。しかし、それぞれの人が味をどう感じているか、いわばクオリアは、共有できないのではないか。おいしい表現のメタファーを分析するのは、分析できないものを分析できるものとしてしまっているのではないか。
Cさん
- 68頁には、「私たちは感覚でとらえたことをじつは忠実に言語化している。だから、言語表現をみれば、人々が何をどうとらえているかがわかるのだ」とある。これは(「コク」などの曖昧な言葉の使われ方についての文章だとはいうものの、)言語観としては素朴すぎて、同意できない。
- むしろ、116頁、「メタファー表現をあまりにも多く浴び続けると、それが日常的であるからこそいっそう、私たちの認識そのものも影響を受けてしまう」のほうが納得できる。言葉は感覚に従属するだけではなく、むしろ言葉が感覚を規定するところがある。
Dさん
- 「コク」の使い方、教わったことも討論したこともないのに、確かにこの本のように「コク」を理解していたのが面白い。言葉をどうやって理解しているのか、不思議に思った。
- 256頁のお菓子のキャラクターホイール(お菓子のおいしさのオノマトペの)が面白い。これを見ていて、この干し柿はとろとろでまずい、とか、まずいものも表現できるな、と思った。私は干し柿が苦手です。
- Aさん まずさの表現って、考えたこともなかった。ていうか、どういう発想?
Eさん
- 私はノドで味わうのが好きで、おいしいものを食べると早く呑み込みたくなっちゃう。64頁に、味覚受容体細胞がノドの奥などにも広く分布していると書いてあって、なるほどと思った。けどこの部分、「のどごし」の表現などとも絡めて、もっと展開してくれたらよかった。
Fさん
- おいしいものを食べても、「うまい」しか言えなかったんですが、この本を読んで表現が広がってよかった。言語の分析も、ところどころ同意できないところもあるけど、表現の幅を増やすというこの本の目的から考えると、いい分析だと思う。
- でも結局、「うまい!」が強いな、とも思った。
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さて今日こそ料理は・・・、豚バラ肉のジェノバ風、オニオンに浸かったポークが旨い!(自料理自賛) あれ、「旨い」だけかよ!
とてもいい本でした。新書は現実に世界を広げる!