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1冊目
『「ともだち」から自由になる』(石田光規、光文社新書)
人間関係は表現の肝と思いますが、この本の第1章は、映画の分析から始まります。
今と昔とでは、人間関係の描きかたが違うのです。同じように感動する映画でも、昔の描きかたは、ずっとあっさりしていました。今はベタベタで、泣いたり抱き合ったりします。昔は、友人は得がたいもので、会えないのもあたり前で、喧嘩しても修復するものでした。今の、薄い友達がたくさんいて、いつでも繋がっていて、喧嘩しない人間関係では、映画の表現は逆になるのかもしれません。
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2冊目
『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く』(北村紗衣、ちくま新書)
今日のテーマは「表現者のための新書」ですが、批評も表現です。作品が生まれた後、鑑賞されて評価されることも含めて表現活動なのです。
この本がいいのは、実践的なところです。明日から評論家になれる、素人でも「評論家ごっこ」ができるというので、やってみたくなります。批評しあえるコミュニティーをどう作るかまで書いてあって、おすすすめです。
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3冊目
『妄想美術館』(原田マハ・ヤマザキマリ、SB新書)
まず、私はあまり知らなかった原田マハさんの経歴が面白かった。働きながら早稲田大学第二文学部美術史科に入り直し、森美術館でキュレーターをして、作家になり…。
この二人、世界中の美術館にめちゃくちゃ行っています。知識レベルが対等な二人の対話が噛み合う面白さがあります。
絵画はもともと貴族の邸宅に飾られていたということで、邸宅のような美術館など、ビジュアルもとても興味深い。上質紙にカラーで、絵画が豊富に掲載されているのもおすすめポイントです。
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4冊目
『おいしい味の表現術』(瀬戸賢一編、インターナショナル新書)
本書後、食事がおいしくなりました。言語化しようとすると、集中し、食の多様な面に気づくためと思います。私は食いしん坊ですが、本書前は適当に食べていた…。「うまっ」以外も言いたい。
本書はおいしさを言語で表現しようとするものですが、逆にことばのほうから美味しさを教えられるようなところもありました。「コク」がどのように使われているかや、風味だけでなく食感も重要であることなどなど。
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以上4冊、どれが読みたくなりましたでしょうか?
投票の結果、『「ともだち」から自由になる』と『おいしい味の表現術』との決選投票となり、なんと同票で、ジャンケンの結果、チャンプ本は『おいしい味の表現術』となりました。
では次回は、『おいしい味の表現術』の読書会です。お気軽にご参加ください!