ニュースを見るより深く新型コロナについて考えたいなら、やっぱり新書が良いでしょう!
以下のとおり、6人から紹介がありました。
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1冊目
『歴史なき時代に』(與那覇潤、朝日新書)
繰り返してきた同調圧力の歴史を、私たちは、もう忘却してしまったのか。
交流を8割削減というのは横暴。私たちは、なぜ粛々と従うのか。
歴史から見た新型コロナが、語り口調で縦横に論じられています。
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2冊目
『ポストコロナの生命哲学』(福岡伸一・伊藤亜紗・藤原辰史、集英社新書)
ウイルスは自分をコピーしているだけ。どこから病気という線引きはできません。
「ゼロコロナ」は、傲慢です。ピュシス(自然)から完全に離れてしまったロゴス(人為)は、もうバランスを考えることができないのです。例えば宮沢賢治『春と修羅』のように、生命を考えるべきなのです。
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3冊目
『新型格差社会』(山田昌弘、朝日新書)
新型コロナによって日常はどう変わったのか、要点をつくのが巧みな社会学者による総まとめです。
「リモートノーワーク」が印象的。リモートで、働いてないでしょう。日本の家は家族全員が同時に家にいるように作られてない、という指摘も鋭いです。
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4冊目
『新型コロナはアートをどう変えるか』(宮津大輔、光文社新書)
新型コロナには、新しい世界を切り拓く側面もあるのでは。例えばペストが農奴を解放に向かわせたように。
人流がなくても、VRやNFTが面白い。新型コロナでも、絵画の価値(値段)は下がっていない。
アートの価値って何だろうと考えさせる、まとまっている本というより、面白い本です。
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5冊目
『コロナ対策禍の国と自治体』(金井利之、ちくま新書)
「コロナ禍対策」ではなく、「コロナ対策禍」。
新型コロナ対策には、そもそも成功ということがありません。それなのに「対策してます感」を出そうとする為政者・非現場型専門家による対策こそが、まさに有害な「コロナ対策禍」なのです。
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6冊目
『保健所の「コロナ戦記」』(関なおみ、光文社新書)
まさに「戦記」です。著者は2020年は東京都庁感染症対策部門の課長、2021年は東京都内の保健所で課長を務めた医師です。
東京の各保健所には、医師免許を持っている職員がせいぜい3人くらいずつしかおらず、緊急搬送するか自宅にとどめるかの判断は、24時間体制でその3人が全て負っているという。びっくりです。
一方、防疫を統括する都庁でも医師免許を持っている職員が少ないのですが、マスコミ対応までその少ない人員が担当していました。びっくりです。
しかもこの戦いは、終わるのかどうかすら分からないのです。驚きの本です。
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以上6冊、皆様、どの本が読みたくなりますでしょうか?
どれも面白そうで、非常に迷いました。歴史学から、生命科学から、社会学から、美学から、行政学から、そして現場から…。
さてチャンプ本は…。
『新型格差社会』と『コロナ対策禍の国と自治体』との決選投票になり…、
チャンプ本は、『新型格差社会』となりました。おめでとうございます!
(個人的には『保健所の「コロナ戦記」』もすごく読みたくなりました!)
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次回は、『新型格差社会』(山田昌弘、朝日新書)の読書会です。人によって着目ポイントが異なりそうな、懐の深そうな本で、楽しみです。ではまた来月!