2021年1月23日土曜日

第11回読書会 ビブリオバトル・テーマ「現代アメリカ」


新書読書会「連鎖堂」を開催しました。今回はビブリオバトル。テーマは「現代アメリカ」(新書限定)です。

 アメリカはいったい、どうしたというのか。そしてこの先、どうなっていくのか。うーん、いいテーマですね。

 参加は少人数4名ですが、全員発表で、以下の4冊が紹介されました。

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 『宗教国家アメリカのふしぎな論理』(森本あんり、NHK出版新書)

 トランプは決して特異な例外ではない。なぜなら、アメリカには反知性主義の伝統があるからです。伝道集会やラジオで熱く語る牧師など、アメリカの宗教的熱狂は強い。これが大統領選にも、ショービジネスにもつながってきました。
 本書によれば、反知性主義はこれまで長続きしたことはないというのですが…。

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 『アメリカン・デモクラシーの逆説』(渡辺靖、岩波新書)

 アメリカの大本は、ビジネスにある。戦争の裏側にビジネス、銃の裏側にビジネス、そしてもちろん、大統領選の裏側にビジネスです。大統領選はそれ自体がビッグ・イベントですし、大口献金者に見返りがあるというビジネスでもあります。
 プラス面を見れば、アメリカには自分でやるという気概があります。マイナス面を見れば、弱肉強食になってしまうというのです。

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 『トランプのアメリカに住む』(吉見俊哉、岩波新書)

 トランプ当選後のアメリカで暮らした学者の、アメリカ観察記録です。
 例えば「性と銃のトライアングル」の章は、MeToo運動と銃乱射事件の背景を探るもの。アメリカはそのはじめから暴力によって成立した国家で、マチズモ的な価値観への肯定がある。これへの反旗と、歪んだ噴出が、MeToo運動と銃乱射事件だというのです。

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 『ルポ 不法移民とトランプの闘い』(田原徳容、光文社新書)

 良質なジャーナリズムです。まずは事実を知らなければ、話は始まらない。読売新聞記者の、不法移民への考え方、その揺れ動きを、ぜひ追体験されたい。
 不法移民は不法ですが、不法と悪はイコールではない。本書の豊富な事例を読んだ後に、不法移民をどう思うことになるのか、ぜひ体験されたい。

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 さてこの4冊、どれも面白そうですが、みなさまがたは、どの本をいちばん読みたくなりましたでしょうか?
 では、チャンプ本の発表です!

 …。

 なんと今回は、
 『宗教国家アメリカのふしぎな論理』(森本あんり)
 『ルポ 不法移民とトランプの闘い』(田原徳容)
 の2冊が同票、しかも決選投票も同票で決着つかず、しかし次回読む本を決めなければならないのでジャンケンの結果…、

 チャンプ本は、
 『ルポ 不法移民とトランプの闘い』(田原徳容)になりました!
 おめでとうございます!

 楽しかった! 次回は、『ルポ 不法移民とトランプの闘い』を課題本とする読書会です。

 では来月も、いい新書とともに、お会いしましょう。