アメリカはいったい、どうしたというのか。そしてこの先、どうなっていくのか。うーん、いいテーマですね。
参加は少人数4名ですが、全員発表で、以下の4冊が紹介されました。
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『宗教国家アメリカのふしぎな論理』(森本あんり、NHK出版新書)
トランプは決して特異な例外ではない。なぜなら、アメリカには反知性主義の伝統があるからです。伝道集会やラジオで熱く語る牧師など、アメリカの宗教的熱狂は強い。これが大統領選にも、ショービジネスにもつながってきました。
本書によれば、反知性主義はこれまで長続きしたことはないというのですが…。
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『アメリカン・デモクラシーの逆説』(渡辺靖、岩波新書)
アメリカの大本は、ビジネスにある。戦争の裏側にビジネス、銃の裏側にビジネス、そしてもちろん、大統領選の裏側にビジネスです。大統領選はそれ自体がビッグ・イベントですし、大口献金者に見返りがあるというビジネスでもあります。
プラス面を見れば、アメリカには自分でやるという気概があります。マイナス面を見れば、弱肉強食になってしまうというのです。
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『トランプのアメリカに住む』(吉見俊哉、岩波新書)
トランプ当選後のアメリカで暮らした学者の、アメリカ観察記録です。
例えば「性と銃のトライアングル」の章は、MeToo運動と銃乱射事件の背景を探るもの。アメリカはそのはじめから暴力によって成立した国家で、マチズモ的な価値観への肯定がある。これへの反旗と、歪んだ噴出が、MeToo運動と銃乱射事件だというのです。
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『ルポ 不法移民とトランプの闘い』(田原徳容、光文社新書)
良質なジャーナリズムです。まずは事実を知らなければ、話は始まらない。読売新聞記者の、不法移民への考え方、その揺れ動きを、ぜひ追体験されたい。
不法移民は不法ですが、不法と悪はイコールではない。本書の豊富な事例を読んだ後に、不法移民をどう思うことになるのか、ぜひ体験されたい。
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さてこの4冊、どれも面白そうですが、みなさまがたは、どの本をいちばん読みたくなりましたでしょうか?
では、チャンプ本の発表です!
…。
なんと今回は、
『宗教国家アメリカのふしぎな論理』(森本あんり)
『ルポ 不法移民とトランプの闘い』(田原徳容)
の2冊が同票、しかも決選投票も同票で決着つかず、しかし次回読む本を決めなければならないのでジャンケンの結果…、
チャンプ本は、
『ルポ 不法移民とトランプの闘い』(田原徳容)になりました!
おめでとうございます!
楽しかった! 次回は、『ルポ 不法移民とトランプの闘い』を課題本とする読書会です。
では来月も、いい新書とともに、お会いしましょう。