ヒトが動物にほかならないということを心底実感できる、いい新書でした。
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この本は、面白い知見がいっぱい載っているタイプの本です。そこで、参加者それぞれが面白かったところを3つずつ挙げてみて、はたしてカブるのか、バラけるのか確認してみました。
結果、複数の参加者が面白かったと挙げた(カブった)ところは、次の3点です。
- 「脊椎動物の胚発生比較図」 すごく似ている。やっぱりインパクトがあります。
- 「スペアの骨 腓骨」 要らない骨あるんかい。
- 「尻尾」 脊椎動物の尻尾は多様で面白い。
他はバラバラ。ほどよいばらけ具合というところでしょうか。
その他、参加者の意見は次のとおりです。
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A 「耳の名は」
- 人の耳にはでっぱりやくぼみがたくさんありますが、解剖学はその全てにいちいち名前をつけていて、その徹底ぶりが印象的。しかもこういう目立たないでっぱりひとつひとつが、もともとの魚のエラ穴のどの部分から由来しているか分かっているというのが、実に面白かった。(89頁)
B 「外反母趾と類人猿」
- 外反母趾のレントゲン写真が、類人猿の足とそっくりなのが驚きだった。「(足の親指と人差し指をつなぐ)靱帯はできてから日が浅く、まだ強度が十分に進化しきれていないのかもしれない」(145頁)
C 「尻尾の多様性」
- 尻尾が印象に残った。尻尾「退化」の経緯:尻尾はもともと、泳ぐための器官。這って歩く爬虫類では、足を後ろに引く筋の付着点。その機能は哺乳類では足が体の下につくため不要となったが、多様な生活型をもつ哺乳類では、じつにバラエティに富んだ機能を果たすことになった。(103頁)
D 「あいまいな男女の境」
- 男女の性器(陰茎と陰核)は実は発生的には連続していること、また、脳にも性差があるがこれも連続していることが、印象に残った。なお、「遺伝的な性と脳の性が一致しない性同一性障害がおこる物であり、文化の産物でもあると思った。
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楽しかった! そして今回の料理は新作のチキントマトスープ!
また来月も、いい新書とともにお会いしましょう。